ダブルブリッド1

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正直、ここまで凄いとは忘れていた。 やはり金賞は違うね。どっかのゴーレムなんとかなんかとは比べ物にならないくらいの完成度。 ホントに最高だわ。 真面目に行きますね。 太一郎と優樹の愛が根本にある物語と見せかけて、絶対に実ることの無い片思いと傷つけられる少女の物語。 すでに二回目か三回目の読了なので、簡単に。 気に入った所がかなりあって、 ・設定を全く説明せずにいきなり差し込んで、あとから補足程度のちょっとした解説を独白させるだけで、その詳細をむりやり強要しない。 ・戦闘時に、傷つくことを完全に当然のこととして、あまり大げさにとりあげない。
(優樹だけかと思ったが、4巻まで読んで、他の人間も同じような描写になっている) ・まだ入賞が決まったわけでもないというのに伏線を多用している。裏設定がしっかり出来ている証拠。 ・優樹が基本的に余裕を持ってるように振舞っているというキャラ付け。 ・浦木という仮面をかぶった最高のキャラがいる。 ・戦闘において、心情描写があまり多くない=戦闘に熱中できる。 などなど。 中村さんは最初からこのクオリティで、鬱コースまっしぐらで、すでに9巻まで出していますが、
そこで終わりなのではやく次のを出して欲しいです。 で、再びもどって内容。  いきなり戦闘っぽいところから始まったのはかなりいい
。興味もわくし、最初に強さとやさしさと弱さを見せておけば、その後の性格判断が容易になる。  そして、さらにそのヨーウィーすらも伏線としてつかっているあたりが凄い。
最初の事件が最後までつながっているというのが好感。
また、コーヒーを投げてカメラをぶち抜いた描写を一章に入れずに二章で回想としてだすことで、後日談としての要素を強く主張しているのがいい。 二章 「反省はしているが後悔はしていない」  のちの太一郎にかかわる重大なセリフをこの序盤から入れることで、その効果をあげている。
というか良く考えたら、これがあったからあとからいくらでもこれでいじることが出来たんだろうなとも思う。
ここですでに伏線のオンパレード。虎くん、大田、八牧、帆村がしっかり出てきている。
ここら辺凄い。口調が全く変化してない点から見て、ちゃんとこの時点できゃらは出来上がっていたんだと推測。 「〜〜はまだ知らない。」 という文句はダブルブリッドで常套句となるが、この時点でも発揮。 あと、太一郎の優樹への不平などを見せておくことで、心情の変化を分かりやすくしていると思う。 3章 退屈で人は死にそうだが(ハルヒが退屈だったら周りの人が死ぬ)。・・・ごめんなさいなんでもないです。 組み手を通じて太一郎の性格をさらに優樹が知ることになる。 そして思い出話から昔のことを思い出し、そこから次の章の高橋へと繋ぐ。 4章 高橋登場。戦闘への入り方が自然で、なめらかで、なおかつ唐突といういい感じの雰囲気で入ったから、
突然起きたという描写がかなり上手くいってると思う。 そしてグロいのが一番前にでてるところ。
目をえぐって眼球を取り出すという最強の技を使ってるあたりが凄い。 あと怪の説明も入っていたが自然で読みやすかった。 5章 高橋との戦闘。そこから高橋の死へ。 なめらかに物語が進むのがいい。ひとつひとつ独立してるけど、
優樹は怪我をしても休まずにどんどん次へといくから更に悲惨な状況になっていく。かわいそう。だが、そこがまたいい。 6章 付け足したような感じのする章だが、全然そんなことはなく、ヨーウィーや浦木を出すためにしっかり使っている。 研究所の所長が、この一回しか出てこないというのにかなり強烈な印象をのこしているあたりキャラ付けがわかりやすくていい。 戦闘はあいかわらず傷などをほとんど気にしない書き方で、読んでて痛いのがポイント。  変身というか変態というか。 正直、イメージしにくいんだが、それも含めて固定したイメージを持たせないために、
ただの恐怖の対象とするためにあえて挿絵をしなかったのかもしれない。知らないけど。 終章 最後の絵が神。 あれ一枚でホントに感動してしまった。 頭に触れてるのに拒否しないのはないているからか。 まあそこら辺はしょうがないと思うけどね。 総評。 上の中の上 ホントにいいわこれ。 最高です。
2006/5/6
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